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外商投資法第34条は以下のように定める:
国は外商投資情報報告制度を構築する。外国投資家もしくは外商投資企業は、企業登録システムおよび企業信用情報開示システムを通じて、商務主管部門に投資情報を報告・送付しなければならない。
外商投資情報報告の内容および範囲は、真の必要性の原則に基づきこれを確定する。部門間の情報共有を通じて取得可能な投資情報については、再び報告・送付を要求してはならない。
これは3.4.8と6.10の中でみた(h)’合同年度検査/合同年報から発展したものであるが、それらよりかなり進化している。
外商投資法実施条例第39条も情報報告制度について規定している(9.1脚注[6]参照)。
伝統的な外商投資監督管理体制の下で、多くは参入前の監督管理を強調しているが、往々にして外資の参入手続中と参入後の監督管理を軽視していた。外商投資の参入規制が減少し、緩和されているため、外商投資企業の参入後の経営管理も監督管理体系に組み入れなければならない。外商投資情報報告制度は投資の状況の下での補充的な参入後の監督管理制度であり、これにより外資参入前と後の間の監督管理に有効な相互作用をもたらすことができる。
これに関して、外商投資法第37条は以下のように定める:
外国投資家、外商投資企業が外商投資法の規定に違反して、外商投資情報報告制度の要求に基づき投資情報を報告・送付しなかった場合、商務主管部門が期限付きで是正を命ずる。期限を超えても是正しない場合、10人民元以上50万人民元以下の罰金を科す。
このため、商務部、国家市場監督管理総局は2019年12月30日に「外商投資情報報告弁法」(以下、「報告弁法」という)を公布し、2020年1月1日から施行している。
従前の外商投資情報報告制度は、特別管理措置の「ネガティブリスト」の対象となるものを除き、「外商投資企業設立および変更報告管理暫定弁法」を基礎としていた。それは外商投資総合管理システム[外商投资综合管理系统]を通じて運営し管理されていた。一方、新たな「外商投資情報報告制度」は、市場監督管理部門の会社登録制度と企業信用情報開示制度によって運営され、市場監督管理部門と商務部が情報共有する(報告規則第4、5、6条)。
従来の「外商投資企業設立および変更届出管理暫定弁法」は2020年1月1日に廃止され(届出規則第35条)、「外商投資情報報告事項に関する公告」[关于外商投资信息报告有关事项的公告](報告公告)に基づき、「2020年1月1日以降に設立または変更された外商投資企業の設立または変更して登録する必要はないが、「外商投資情報報告弁法」と本公告の要求に従って投資情報を報告する必要がある、とされ、新システムへの移行が直ちに実施されることが意図されている。
「外商投資情報報告制度」の具体的内容は、報告規則および報告公告に規定されている。報告規則によれば、外商投資情報報告制度における報告義務者は外国投資者または外商投資企業とされ、①当初報告、②修正報告、③年次報告および、④抹消報告の4つの類型の報告が要求されており(報告規則8条)、各報告の概要は下表のとおりである[1]。
当初報告 | 修正 | 年次報告 | 抹消報告 | |
報告義務者 | 外国投資者 | 外商投資企業 | 外商投資企業 | 外商投資企業 |
報告事項 | ・外国投資者が中国国内に外商投資企業を設立 ・外国投資者が持分取得により国内会社を買収 * 既存の外商投資企業については不要 | ・当初報告の報告情報に変更が発生 *既存外商投資企業も当初報告の報告項目に変更が発生したら報告を要する | ・外商投資企業が設立された日の属する年度の翌年に設立年度分の報告を行い、以降は毎年報告 *既存外商投資企業は2020年に2019年度分を報告 | ・外商投資企業の抹消または内資企業への変更 |
報告の時期および方法 | 外商投資企業の設立登記手続または持分買収にかかる変更登記手続申請と同時に企業登記システムにおいて報告を実施 | ・変更登記または届出が必要となる場合は、変更登記または届出申請と同時に企業登記システムにおいて報告を実施 ・変更登記または届出事項に該当しない場合(実質支配者の変更等)、変更事項の発生から20営業日以内に企業登記システムにおいて報告を実施 | 企業信用情報公示システム[国家企业信用信息公示系统]を通じて1月1日から6月30日の間に前年度分の報告を実施 | 抹消登記または変更登記の実施により抹消報告も実施されたとみなされる(市場監督管理部門から商務部門に情報が転送され、別途の手続は不要) |
報告の内容 | ・企業基本情報 ・投資者および実質的支配者の情報(資金出処、実質的支配者の支配方式等を含む) 投資取引情報等(持分取得による国内企業の買収:持分・資産評価額を含む。 外国企業による戦略投資:戦略投資の詳細) | 当初報告(企業基本情報、投資者およびその実質的支配者の情報、投資取引情報等)の変更状況 | ・企業基本情報(従業員数(総数および外国人・大卒以上人数)、賃金総額、特許件数を含む) ・投資者および実質的支配者の情報(資金出処、世界500強企業の出資状況等を含む) ・企業の経営および資産負債等の情報(輸入設備減免税状況を含む) |
上記の規定のほか、報告規則によると、外国投資家または外商投資企業は(1)国家企業信用情報公示システムと外商投資情報報告システムを通じて報告された情報を公表しなければならず、(報告規則第18条)(2)報告を懈怠した場合または報告内容に齟齬・遺漏がある場合は自ら補充または更正をしなければならず、商務部は20営業日以内に補充または更正をするよう命じ(報告規則19条)、(3)期限を過ぎても補充または更正をしない場合は、情状に応じて10万元以上50万元以下の罰金を科し(「通報規則」第25条)、(4)外商投資情報報告システムを通じて情報報告義務の履行状況を公示できる(報告規則第26条)。
外商投資法で求められる報告内容と範囲は、真の必要性の原則に従い、できるだけ外国投資家と外商投資企業の負担を軽減するという原則に基づいて確定されるべきである。
実際、新しい報告規則の下で、報告が必要な場合と報告自体の内容については、従来の通知制度から外国投資家と外商投資会社の負担を著しく増加させるような変化はないようであるが、報告のシステムと手続には変更が生じる。
[1] 本間隆浩 中国「外商投資法」がついに施行、対応のポイントは? 参照